いま、請求が来ている方へ
読む時間が惜しいときは、この3つだけ先にやってください。理由はあとで説明します。
- お金の出所を止める(キャリア決済の停止、カード情報の削除、端末を預かる)
- これ以上、課金させない(気づいたあとも課金が続くと、返金の交渉で不利になることがあります)
- 明細と履歴を残す(消さない。金額、日時、どの端末か)
そのうえで、消費者ホットライン「188(いやや)」に相談してください。全国どこからでもかけられて、地域の消費生活センターにつながります。
私が子どものころ、ゲームでアイテムを買うのは、なかなかの重労働でした。
草原に出てスライムを倒し、また倒し、少しずつゴールドを貯める。ようやく貯まったら街の道具屋へ行って、店主と相談しながら買うものを選ぶ。あの「やっと買えた」という感じは、今でもよく覚えています。
でも、いまは違います。
現実の世界で働いて貯めたお金を、仮想の世界に入れて、アイテムを買う時代です。スライムを倒す必要はありません。画面をタップすれば、数秒で手に入ります。
この記事は、その数秒が積み重なってしまったあとの話です。
先に、正直に線を引きます
「返金してもらえますか」という問いに、私は「必ず戻ります」とは書けません。戻る場合もあれば、戻らない場合もあります。
ただ、あきらめるのはまだ早い、と言える材料があります。
消費者庁が、消費生活センターの相談員向けにまとめた資料があります。「オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアル」というもので、未成年の課金トラブルにどう対応するかが書かれています。そこに、こんな数字が載っていました。
未成年者のオンラインゲーム課金に関する消費生活相談のうち、相談員のあっせんを受けたもの及び相談員の助言を受けて相談者が自主交渉したものは計1,385件。このうち事業者から一部でも返金を受けることができた相談は1,207件で全体の87%。(同マニュアル2ページ)
相談して、実際に交渉まで進んだ人の87%が、一部でもお金を取り戻しています。
ここは正確に読んでほしいところなので、補足させてください。この87%には、次の2つの前提があります。
- 母数は「交渉まで進んだ1,385件」です。相談員が事業者との間に入ってくれた場合(あっせん)と、助言を受けて自分で交渉した場合の合計。課金トラブル全体の87%が返ってくる、という意味ではありません
- 令和3年度(2021年度)に受け付けた相談を集計したものです
それでも、言えることはあると思います。動いた人の多くには、何かしら返ってきている。
18歳・19歳は対象外です
この記事で扱う「未成年者取消し」は、18歳未満の話です。
2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳・19歳はもう成年です。親の同意がなかったことを理由に契約を取り消すことは、原則としてできなくなりました。
高校生のお子さんの場合、17歳と18歳で扱いが変わります。まずお子さんの年齢を確認してください。
幼いお子さんには「無効」という別の道があります
3歳、4歳といった年齢のお子さんが親のスマホを操作してしまった場合、「未成年者取消し」とは別に、そもそも契約として成り立っていないという考え方もあります。「意思無能力による無効」といいます。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。(民法第3条の2)
自分のしていることの意味が分かる年齢かどうかが目安で、経済産業省の資料では「一般的には7〜10歳程度の知力があれば足りる」とされていますが、最終的には個別に判断されます。
「取消し」と「無効」の違い
せっかくなので、この2つの違いを見ておきます。知っておくと、事業者とのやりとりで言葉に迷いにくくなります。
取消しは、いったん成立した契約を、あとから引っくり返すことです。取り消すまでは契約として生きていて、取り消すかどうかは、こちら側が選べます。取り消すと、はじめから無効だったものとして扱われます。
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
民法第121条
無効は、最初から契約として成り立っていないことです。引っくり返す手続きがいりません。はじめから何もなかった、という扱いになります。
- 契約の状態
取消し(未成年者取消し):いったん成立している。あとから引っくり返す
無効(意思無能力):最初から成立していない - 期限
取消し(未成年者取消し):追認できる時から5年、行為の時から20年(民法第126条)
無効(意思無能力):期間の定めはありません
実際の場面では、どちらも事業者に「返金してください」と伝えることに変わりはありません。ただ、取消しには期限があることは知っておいてください。5年あるので慌てる必要はありませんが、時間が経つほど明細や記録は集めにくくなります。気づいたら早めに動くほうが、結果的に楽だと思います。
まず、お金の出所を止める
手続きの話をする前に、これを先にやってください。

理由は2つあります。ひとつは、これ以上増やさないため。もうひとつは、意外と知られていない理由です。
消費者庁の資料に、こんな事例が載っています。
事業者からは、「メールで課金が行われたことの通知をしているため課金に気がつかないはずがない」、「相談者が課金に気が付いた後にも課金が続けられていることから親が追認したものと考える」と言われ、課金の取消しには応じられなかった。
気づいたあとも課金が続いていると、「親が認めたということですね」と言われてしまうことがあるのです。返金の交渉をするつもりなら、まず流れを止める必要があります。
決済の種類ごとの止め方
お金がどこから出ているかによって、やることが違います。請求書や明細を見て、まず出所を確かめてください。
キャリア決済(携帯料金と合算されているもの)
携帯電話会社のマイページなどから、決済そのものを停止したり、上限額を下げたりできます。消費者庁も、再発防止策として「キャリア決済の上限額を設定する」ことを挙げています。携帯代とまとめて引き落とされるため、明細を開かないと気づきにくい決済です。いまいくらに設定されているか、一度確認してみてください。
クレジットカード
まず、プラットフォーム(App StoreやGoogle Playなど)のアカウントからカード情報を削除します。カード自体を止める前に、こちらを先にやるほうが早いです。
プリペイドカード・ギフトカード
コンビニなどで現金で買えてしまうため、いちばん気づきにくい形です。消費者庁の資料にも、こんな相談例が載っています。
子どもが勝手に現金を持ち出し、コンビニでプリペイド型電子マネーのギフトカードを購入して、タブレット端末でオンラインゲームで課金していた。
この場合、家庭に購入の記録が残りません。お子さんに聞くしかない場面も出てきます。
端末そのもの
いずれの場合も、課金に使われた端末をいったん預かる、パスコードを変える、といった対応が現実的です。お子さんを罰したいわけではなく、交渉が終わるまで状況を固定するためだと説明できるといいのかなと思います。
記録を残す
- 課金の明細(金額、日時、件数)
- どの端末で、どのアカウントで課金されたか
- 決済の通知メール
- お子さんから聞き取った経緯(いつから、どんなつもりで)
相談したときに最初に聞かれるのが、このあたりです。全部そろっていなくても相談はできますが、手元にあると話が早く進みます。
相談員が見ている「3つのチェック」
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
「返金されるかどうかはケースバイケースです」と書かれた記事を読んで、そこで止まってしまった方も多いのではないでしょうか。私もそうでした。
でも実は、相談員の方が使っている判断の枠組みは、はっきり決まっています。 先ほどの消費者庁のマニュアルに、そのまま書かれているのです。難しい言葉で書かれているので、噛み砕いてみます。
未成年者取消しが使えるかどうかの3つのチェック
- 親の同意なしにした課金か(民法第5条第1項)
- おこづかいの範囲と言えるか(民法第5条第3項)
- 年齢を偽るなどしていないか(民法第21条)
1が「はい」で、2と3が「いいえ」なら、取り消せる可能性があります。
条文そのものの説明は、SNSトラブル全体をまとめた記事で詳しく書いています。
ここでは、それぞれのチェックが実際にどう判断されるのかを見ていきます。ここを知っているかどうかで、事業者とのやりとりがずいぶん変わります。
チェック1: 親の同意なしにした課金か
「一緒に選んであげた」「1回だけ許可した」といった事情があると、そこは同意があったと見られます。
気をつけたいのは、親のアカウントで子どもに遊ばせていた場合です。アカウントの持ち主が親だと、「決済したのは親では?」という話になり、「子どもがやった」と示すこと自体がむずかしくなります。
チェック2: おこづかいの範囲と言えるか
親が「自由に使っていいよ」と渡したお金の範囲なら、子どもが自分で使って構わない、というのが法律の考え方です。
ここで知っておいてほしいことがあります。事業者から「少額だから小遣いの範囲でしょう」と言われることがあるのですが、金額が小さいというだけでは、そう決めつけることはできません。
消費者庁の資料には、3歳のお子さんが月額500円を課金してしまった事例が載っています。事業者は「500円という低額の課金であり小遣いの範囲内であり取り消せない」と回答しました。これに対する資料の記述がこちらです。
しかし、金額が低額であるという点のみをもって「処分を許した財産」であると判断することはできない。
チェック3: 年齢を偽るなどしていないか
ここがいちばん誤解の多いところです。
購入画面に「あなたは成年ですか」という確認が出て、お子さんが「はい」を押していた。だから返金されない——そう思って、あきらめてしまう方が少なくありません。
そうとは限りません。
法律の言葉では「詐術(さじゅつ)」といって、うそをついて相手を信じ込ませた場合には取り消せない、とされています。ただ、何をもって詐術と言えるのかについて、経済産業省の資料が具体例を挙げています。
詐術に当たらないと考えられる例
- 単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合
- 利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみである場合
つまり、ボタンを一度押しただけでは、詐術とまでは言えないという整理です。生年月日を意図的に偽って入力したとしても、それだけで自動的に決まるわけではなく、「人を欺くに足りる」行為だったかどうかを総合的に見て判断されます。
同じ資料には、判断のときに何を見るかも書かれています。
少なくとも、単に年齢確認画面や生年月日記入画面に虚偽の年齢や生年月日を入力したという事実のみをもって「詐術を用いた」とは断定できず、事業者の設定した年齢確認や親の同意確認の障壁を容易にかいくぐることができるものであったかなど他の考慮要素も踏まえた総合判断が求められると解される。
そのゲームの年齢確認が、子どもでも簡単にすり抜けられるものだったかどうかも見られるということです。どんな画面だったか、スクリーンショットで残しておけると、話をするときに役立ちます。
証明する責任は、事業者の側にあります
もうひとつ、心強い原則があります。
経済産業省の資料には、こう書かれています。
(1)〜(3)の事由は、未成年者側からの取消しの主張に対して抗弁として主張すべき事由であるから、取消権が認められないと主張する者が主張・立証する責任がある。
かみくだくと、こうなります。
親の側が「うちの子は年齢を偽っていません」と証明する必要はありません。 「偽った」と言う側、つまり事業者のほうが、それを示す責任を負います。
「証拠がないから無理だろう」とあきらめる前に、ここを思い出してほしいなと思います。
どこに、どう相談するか
順番があります。

1. プラットフォームや運営会社の窓口へ
課金したサービスの窓口が最初の入り口です。ここで返金に応じてもらえれば、それがいちばん早く終わります。
- App Store(iPhone・iPad)
reportaproblem.apple.comにサインイン →「項目を選択してください」→「返金をリクエストする」→ 理由を選んで申請。結果が出るまで24〜48時間ほど
案内ページ: 公式サイト - Google Play(Android)
購入から48時間以内なら Google Play で直接リクエストできます。それを過ぎた場合は、アプリの提供会社に直接連絡するよう案内されています。身に覚えのない請求は、取引から120日以内に報告
案内ページ: 公式サイト - Nintendo Switch
ダウンロードソフトや追加コンテンツは、原則として返品・払い戻しができないとされています
案内ページ: 公式サイト
※連絡先や手順は2026年9月時点のものです。変わることがあるので、各社の公式ページで確認してください。
任天堂のように「原則できません」と書かれている場合もあります。ただ、ここで断られたら終わり、ではありません。 次に進んでください。
2. 断られたら、消費者ホットライン188へ
消費者ホットライン「188(いやや)」にかけると、地域の消費生活センターにつながります。
ここが、先ほどの87%の舞台です。相談員の方が、事業者との間に入って交渉してくれたり(あっせん)、自分で交渉するための助言をくれたりします。実際の内訳は、あっせんが1,016件、助言を受けての自主交渉が191件でした。
伝えるとよいこと:
- お子さんの年齢
- 課金の金額、期間、件数
- どの端末・どのアカウントで課金されたか
- 決済の手段(カード/キャリア決済/プリペイド)
- 事業者に断られた場合は、どんな理由で断られたか
最後の項目が特に大事です。次の章で説明します。
返金されたら、アイテムは返すのが原則です
見落としやすい点なので、先にお伝えしておきます。
課金を取り消して返金を受けた場合、ゲーム内で手に入れたアイテムやポイントは返すことになるのが原則です。消費者庁の資料も、相談員がこの点を相談者に説明するよう促しています。「お金が戻って、アイテムもそのまま残る」とは限りません。
ただし、返すのは「いま手元に残っている分」までです。条文はこうなっています。
行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。(民法第121条の2第3項)
「制限行為能力者」には未成年者が含まれます。つまり、すでに使い切ってしまったものまで、無理に返す必要はありません。 ここは子どもを守るための決まりです。
とはいえ、お子さんにとってはつらい部分だと思います。返金を求める前に、そのことも話しておけるといいのかなと思います。
断られたときの5つのパターン
事業者から返金を断られたとき、その理由はだいたい決まっています。
そして消費者庁の資料には、それぞれの言い分をどう受け止めればよいかが書かれています。ここは、他ではあまり見かけない部分だと思うので、丁寧に紹介します。

パターン1「気づいたあとも課金が続いている=認めたということでは」
冒頭でお伝えしたものです(同マニュアル4ページ・事例1)。返金の交渉を始めるなら、まず課金を止める。 資料も、返金が行われるまでの間は課金を続けさせないよう注意を促すべきだとしています。
パターン2「年齢確認で成年と答えている」
先ほどのチェック3です(同マニュアル4ページ・事例2)。ボタンを一度押しただけでは詐術とまでは言えないというのが、経済産業省の資料の整理です。どんな画面で、どんな表示だったのかを確認したうえで、話をしてみてください。
パターン3「少額だから小遣いの範囲」
金額が低額というだけでは、そう判断することはできません。 これも資料に明記されています(同マニュアル5ページ・事例3)。
パターン4「二度と申し出ないと誓約するなら応じる」
実際にあった相談です(同マニュアル5ページ・事例4)。「未成年者取消しを二度と申し出ない」という誓約書を求められた、というもの。さらに、「兄が以前に取消しを受けたので、弟の分は認めない。家族単位で判断している」と言われた例もあります。
これについて、資料はこう述べています。
未成年者取消権を行使できると考えられる事案において未成年者取消を二度と申し出ないと誓約させる条件を付け、この条件を受け入れる場合に限り未成年者取消しによる課金の取消しに応じるとする主張は、未成年者保護の立法趣旨に反する。
未成年者取消権を行使できる場合には、事業者が求める誓約書を提出することなく、未成年者取消しによる課金の取消しを主張することができる
かたい言葉が続くので、かみくだきます。
未成年者取消権という制度は、まだ判断が十分にできない子どもを守るために作られたものです。その制度を使わせる代わりに「もう二度と使いません」と約束させるのは、制度が守ろうとしているものと逆を向いている——資料はそう言っています。
実際のところ、こういう条件を示されると「ここで断ったら返金されないのでは」と思ってしまうと思います。でも、誓約書にサインしなくても、取消しを求めることはできます。 迷ったら、その場で決めずに188へ相談してください。
兄弟の件も同じです。取消しができるかどうかは、契約した子ども一人ひとりについて判断されます。 「家族単位で1回きり」というのは、法律の決まりではありません。
パターン5「ペアレンタルコントロールを使っていない親の責任」
そして、これがいちばんお伝えしたいものです。
「制限機能があるのに使っていなかったのだから、親の管理責任に問題がある」——そう言われて、返金を断られた事例が載っています(同マニュアル6ページ・事例5)。
言われた側の親御さんは、たぶん何も言い返せなかったと思います。私も、同じことを言われたら黙ってしまう気がします。
でも、資料にはこう書かれています。
法定代理人の子に対する監督が十分行われているかどうかは未成年者取消しの要件とされていない。
あなたの管理が甘かったから返金されない、という理屈は、法律の要件ではありません。
ただ、ここは誤解されやすいところなので、丁寧に説明させてください。
未成年者取消しという制度の中での話です
未成年者取消しが使えるかどうかを決めるのは、さきほどの3つのチェックだけです。親がどれだけ注意深く見ていたかは、そもそも判断材料に入っていません。
だから「管理が甘かったから返金しない」という言い方は、この制度の話としては筋が通らない、ということになります。
「親は何の責任も負わない」という意味ではありません
ここを取り違えないでほしいのです。
親が子どもを見守る責任は、当然あります。たとえば、子どもがネット上で誰かを傷つけてしまったときには、親が賠償の責任を負うことがあります。日々の暮らしの中で子どもに教え、見届ける責任がなくなるわけではありません。
いま話しているのは、事業者との契約を取り消せるかどうかという、限られた場面の話です。その判断に「親の監督が十分だったか」という条件は入っていない。それだけのことです。
再発防止は、別の話として大事です
ペアレンタルコントロールは使ったほうがいいと、私も思います。ただそれは、これから同じことを起こさないための話であって、いま返金されるかどうかとは別の話です。2つを混ぜないでください。
自分を責めている方に、ここだけは届いてほしいと思って書きました。
次に同じことが起きないために
返金の話はここまでです。ここからは、少し先の話をさせてください。
形に残らないものに、お金を使うということ
冒頭でスライムの話を書きました。私が子どものころ、アイテムを買うお金は、ゲームの世界の中で稼ぐものでした。
いまは、現実の世界で貯めたお金を、仮想の世界に入れます。

しかも、そこで手に入るものは形に残りません。サービスが終われば消えてしまうこともあります。だからこそ、限られたおこづかいの中でどうやりくりするかを、考える必要があるのだと思います。
もうひとつ、私が難しいと感じているのがキャッシュレスです。
私が道具屋でアイテムを買っていたころは、少なくとも画面の中で「ゴールドが減る」という手ごたえがありました。いまは、財布からお札を出すわけでもなく、数字が動くだけです。お金を使った重みを感じにくい。 これは子どもだけの話ではなく、私自身にも言えることです。
遠ざければいいわけでもありません
では、課金は一切させないほうがいいのか。
私はそうも思えないのです。本当は遊びたいのに全く触れさせないままでいると、大人になったときに反動が来て、歯止めが効かなくなるのではないか。そのほうが怖い気がしています。
子どものうちから少しずつ経験して、ときには「使いすぎた」と後悔もしながら、付き合い方を身につけてほしい。失敗するなら、まだ金額が小さくて、隣に親がいるうちのほうがいいのだと思います。
いかにして「ほどほど」を伝えるか。 正直に言うと、私もまだ答えを持っていません。わが家はまだオンラインゲームにつないでいないので、これから考えることになります。
ただ、ひとつだけ決めていることがあります。「何にお金がかかるのか」を、先に一緒に確認しておくことです。禁止するのではなく、仕組みを知ってから触る。SNSトラブル全体をまとめた記事でフィルタリングについて書いたときと、同じ考え方です。
仕組みでできること
気持ちの話だけでは足りないので、実際の設定の話もしておきます。
消費者庁の資料が挙げている再発防止策です。相談員の方が、相談の最後に伝えている内容だと思ってください。
- プラットフォームに登録したID情報から、クレジットカード情報を削除する
- カード情報が登録された端末を、子どもに不用意に使わせない
- カードを適切に管理し、暗証番号も推測されにくいものにする。利用明細を定期的に確認する
- 大人のアカウントが登録された端末で、子どもにゲームをさせない
- 課金の決済通知メールが来ていないか、定期的に確認する
- キャリア決済の上限額を設定する
- 子どもがどんなゲームで遊んでいるかを知り、何をすればお金がかかるのか、お金をかけたいときは親の承諾が必要なことを家族で話し合う
- ペアレンタルコントロールの設定を行う
私が「なるほど」と思ったのは、上から3つが親自身の行動だということです。子どもを制限する話ではなく、まず大人の側の管理から入っています。
そのうえで、資料はこう続けています。
家族による話合いだけではトラブルの再発防止が難しい場合には、最寄りの関係機関に相談することを助言することも検討する。
家庭で抱えきれないこともある、という前提に立っているのが、私はありがたいと感じました。
子どもと一緒に読むページ
ここから下は、お子さん本人にも読んでもらえたらうれしいところです。

1. 課金は「買い物」です
ゲームの中のことでも、お金を払った時点で、お店で物を買ったのと同じ「契約」になります。画面をタップしただけに見えても、現実のお金が動いています。
2. あとから取り消せることも、できないこともあります
18歳より下の人が、おうちの人に相談せずに買ったものは、あとから取り消せる場合があります。でも、いつでもできるわけではありません。取り消せたときは、手に入れたアイテムを返すことになります。
3. 欲しくなった気持ちは、悪いことではありません
強いキャラクターが欲しい、みんなが持っているものが欲しい。その気持ちは自然なものだと思います。問題は気持ちのほうではなく、使う前に相談できたかどうかです。
4. 使う前に、ひとこと相談してください
「いくらまでならいい?」と先に聞いておけば、あとで困ることはずっと減ります。相談された側も、頭ごなしに断ることは少ないはずです。
5. もう使ってしまったときは、早く言ってください
言いにくい気持ちは、よく分かります。でも、早ければ早いほど、たいていのことは何とかなります。 金額が大きくなってからのほうが、みんなが苦しくなります。
叱られるのが怖くて黙っていると、そのあいだも請求は続きます。今日、言ってしまってください。
言ったあとは、たぶん少し気まずい時間があると思います。それでも、そのうち落ち着きます。話が片づいたら、おいしいごはんでも食べに行きましょう。ひとりで抱えたままでいるより、そのほうがずっといいはずです。
課金の裏に別の問題があるとき
課金そのものより、その背景のほうが心配な場合もあります。
ゲームから離れられなくなっているとき
消費者庁の資料には、こんな相談例が載っています。
子どもが親に無断でオンラインゲームの高額課金を繰り返しているとの相談があった。最近学校に登校できなくなり、家ではゲームばかりしていて、家族関係も悪化していると言う。
こうした場合について、資料は専門機関につなぐよう促しています。連携先として挙げられているのは、精神保健福祉センター、子ども・若者総合相談センター、法務少年支援センターです。
そして、こう書かれています。
更なる課金を防ごうと本人からゲームを取り上げて課金させないようにするといった助言を行うことは適切ではない。
取り上げれば止まる、という単純な話ではない。国の資料がそう書いていることは、知っておいていいと思います。
支払いそのものが難しいとき
請求額が大きく、支払いのめどが立たない場合の窓口もあります。
- 自治体の生活困窮者自立支援相談窓口
- 財務局の多重債務相談窓口
- 法テラス 0570-078374(弁護士費用が心配な場合、無料法律相談や民事法律扶助の相談ができます)
ひとりで抱えないでください。
おわりに
長くなったので、最後に整理します。
- まずお金の出所を止めて、課金を続けさせない。記録は消さない
- 使えるかどうかは3つのチェック(親の同意/おこづかいの範囲/年齢を偽っていないか)
- 18歳・19歳は対象外。とても幼い子には意思無能力による無効という別の道もある
- プラットフォームで断られたら188へ。相談して交渉まで進んだ人の87%は、一部でも取り戻している
- 断られた理由が「管理が甘い」なら、それは法律の要件ではない
この記事を書きながら、いちばん心に残ったのは、あの一文でした。
法定代理人の子に対する監督が十分行われているかどうかは未成年者取消しの要件とされていない。
高額の請求を見たとき、多くの親御さんはまず自分を責めるのだと思います。もっと気をつけていれば、と。その気持ちのまま事業者に「管理が甘かったのでは」と言われたら、引き下がってしまうのが自然だと思います。
でも、そこは分けて考えて大丈夫です。再発を防ぐ工夫と、いま返金されるかどうかは、別の話です。
なお、この記事は一般的な情報をまとめたものです。個別のケースについては、消費生活センター(188)や、弁護士などの専門家にご相談ください。状況によって答えが変わるテーマなので、そこはぜひ専門家の力を借りてください。
参考にした情報
- 消費者庁「オンラインゲームに関する消費生活相談対応マニュアル 概要」
- 経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(令和7年2月)
- 国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」(2024年3月13日)
- 国民生活センター「オンラインゲーム(各種相談の件数や傾向)」
- e-Gov法令検索「民法」(第5条・第21条・第121条の2)
- Apple「Appleから購入したアプリやコンテンツの返金手続きをする」
- Google Play「払い戻しポリシーについて」
- 任天堂サポート「購入したダウンロードソフトを返品・払い戻し・譲渡することはできますか?」
- 法テラス
この記事は2026年9月時点の情報をもとに書いています。法律や制度、各社の手続きは変わることがあるため、年に一度は見直して更新します。
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