18歳でできること・できないこと一覧|一人で契約できる年齢と外れる2つのお守り

18歳でできること・できないこと一覧|一人で契約できる年齢と外れる2つのお守り

私が18歳、19歳だったころ、成年は20歳でした。

だから、あのころ自分の責任で何かを契約した記憶がありません。 20歳を過ぎてからも、したことといえば、アルバイトの雇用契約とキャッシュカードの作成、インターネットの契約くらいです。

高校を出て、進学して、就職して。人生の節目はいくつもあったはずなのに、重要な判断をした覚えがない。

ということは、その分を親がやってくれていたということだと思います。

当時は、それが当たり前だと思っていました。いま振り返ると、ずいぶん恵まれていたのだと思います。両親には感謝しています。

でも、いまの18歳は違います。

子どもが18歳になる日は、静かにやってきます。役所から封筒が届くわけでも、学校で説明があるわけでもありません。ケーキを食べて、おめでとうと言われて、次の日もいつもどおり。見た目には、何も変わりません。

それなのに、その日から、自分の名前で契約ができるようになります。 親の同意なしに。

この記事でわかること

  1. 18歳でできること・できないことの一覧(すぐ下にあります)
  2. いちばん大きな変化は、できることが増えることではなく、2つのお守りが外れること
  3. その日までに、親子でできること(国が作った無料の教材があります)

一覧だけ見たい方は、次の章をどうぞ。「で、何をすればいいの」という方は、18歳までにできることへ飛んでください。

わが家がこの日を迎えるのは、まだ先のことです。だからこれは「こうやって乗り切りました」という話ではなく、その日までに何ができるかを考えている途中の記録になります。

年齢でできることが一度に切り替わらないことを示した年表の図。16歳は原付・普通二輪の免許。18歳は一人で契約できる、親権が終わる、普通自動車の免許、10年有効のパスポート、結婚。20歳はお酒・たばこ、馬券など、養子を迎える、国民年金の保険料、中型免許。21歳は大型免許。下に「18歳で全部が切り替わるわけではありません」とある
18歳で全部が切り替わるわけではありません。年齢ごとに、別々に決まっています

18歳でできること・できないこと一覧

先に、全体像を置いておきます。根拠になる条文も一緒に並べました。

18歳からできること

  • 親の同意なしに契約する(携帯・部屋・カード・ローン)
    民法第4条
  • 住む場所や進路を自分で決める
    民法第4条
  • 10年有効のパスポートを取る
    旅券法第5条第1項
  • 公認会計士・司法書士などの資格に基づく職業に就く
    各資格の法律(公認会計士法・司法書士法など)
  • 結婚する
    民法第731条

20歳にならないとできないこと

  • お酒を飲む
    二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 第1条
  • たばこを吸う
    二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 第1条
  • 馬券などを買う
    競馬法第28条
  • 養子を迎える(育てる側になる)
    民法第792条
  • 国民年金の保険料を払い始める
    国民年金法第7条・第8条

18歳とは関係なく決まっていること

  • 原付・普通二輪の免許
    16歳
  • 普通自動車の免許
    18歳(※昔から18歳。引き下げとは無関係)
  • 中型免許
    20歳
  • 大型免許
    21歳

一覧は、これでほぼ全部です。

ここから先が、この記事で本当に書きたかったところになります。

変わるのは民法のたった一文

18歳成人の根っこにあるのは、驚くほど短い条文です。

民法 第4条(成年)

年齢十八歳をもって、成年とする。

これだけです。2022年4月1日に、それまで「二十歳」だったところが「十八歳」に変わりました。

この「成年」には、2つの意味があると法務省が説明しています。

民法の成年年齢には、一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と、

父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q3より

つまり、契約と親権。この2つが、同じ日に切り替わります。

外れるのは2つのお守り

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

18歳になると、できることが増えます。それは事実です。ただ、同じ日に、それまであったお守りが2つ外れます。

18歳の誕生日を境に2つのお守りが外れることを示した図。左の「17歳まで」では、「親権」と「あとから取り消せる権利」と書かれた2つのお守り袋が子どもの手のひらにある。右の「18歳から」では、同じ2つのお守りが手元を離れ、色が薄くなっている。下に「できることが増える日に お守りが2つ外れます」とある
できることが増える日に、お守りが2つ外れます

1つ目は親権

親が子どもを守り、育てる権利と義務のことです。住む場所を決めたり、進路について口を出したりできるのは、この親権があるからでした。

18歳になると、これが終わります。法律の上では、親の出番が終わるということです。

この話は、子どものスマホのルールについて書いた記事で詳しく書きました。フィルタリングをかけるかどうかを考えたとき、行き着いたのが「親権は18歳で終わる」という事実でした。

2つ目は取り消せる権利

こちらのほうが、たぶん影響が大きいと思います。

17歳までは、親の同意なしに結んだ契約を、あとから取り消せる仕組みがありました。「未成年者取消権」と呼ばれるものです。

高額な買い物をしてしまっても、「親の同意がありませんでした」と言えば、取り消せる可能性がありました。子どもを守るための仕組みです。

18歳になると、これが使えなくなります。

取り消せる条件や、実際にどう動けばいいかについては、子どものゲーム課金と返金について書いた記事にまとめています。ここでは「18歳で使えなくなる」という事実だけ押さえておければ十分です。

引き下げより前の契約は、いまも取り消せます

法務省が、こう書いています。

なお、2022年4月1日より前に18歳、19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は、施行後も引き続き、取り消すことができます。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q3より

契約した時点でどうだったかで決まる、ということです。あとから法律が変わっても、そのときに持っていた権利は消えません。

国が心配を公言している

この2つ目について、法務省自身がこう書いています。

未成年者取消権は未成年者を保護するためのものであり、未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきました。成年年齢を18歳に引き下げた場合には、18歳、19歳の方は、未成年者取消権を行使することができなくなるため、悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q5より

国が、自分で決めた制度について「懸念されています」と書いている。

なかなか、めずらしいことだと思います。心配していることが、隠さずに言葉になっています。

そのうえで政府は、学校での消費者教育を充実させたり、消費者契約法を改正したり、消費者ホットライン「188」を知らせたりしてきた、と続きます。手は打っている。でも心配は残る、という書きぶりです。

18歳の誕生日に起きること

増えるもの … 契約する自由、住む場所を決める自由、進路を決める自由

外れるもの … 親権と取り消せる権利。つまり、やり直しがきく範囲

自由が増えるとお守りが減る。これは、たぶんセットなのだと思います。

実際に何が起きているか

では、お守りが外れたあと、本当にトラブルは起きているのでしょうか。

相談は年に1万件ほど

2025年度に全国の消費生活センターへ寄せられた相談のうち、契約した本人が18歳・19歳だったものは、10,250件でした。

※ 国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況-2025年度-」(2026年5月公表)

1日あたり28件ほど。どこかで毎日、18歳か19歳の誰かが困っている計算になります。

ただし急増したわけではない

ここは正直に書いておきたいところです。

「18歳成人で若者の被害が激増している」という書き方を見かけます。ただ、数字を並べてみると、そう単純ではありません。

  • 2019年度
    相談件数:10,449件
    引き下げ前
  • 2020年度
    相談件数:11,387件
    引き下げ前
  • 2021年度
    相談件数:8,536件
    引き下げ前
  • 2022年度
    相談件数:10,027件
    ←2022年4月に引き下げ
  • 2023年度
    相談件数:9,788件
  • 2024年度
    相談件数:9,082件
  • 2025年度
    相談件数:10,250件

※ 2019年度・2020年度は国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況-2023年度-」(2024年5月公表)、2021年度以降は「同-2025年度-」(2026年5月公表)より。同じ年度でも、あとから相談が登録されるため、公表の時期によって数字が少し変わります

18歳・19歳の消費生活相談の件数の移り変わりを示した棒グラフ。2019年度10,449件、2020年度11,387件、2021年度8,536件、2022年度10,027件、2023年度9,788件、2024年度9,082件、2025年度10,250件。2021年度と2022年度のあいだに「2022年4月 成年年齢の引き下げ」の線があり、引き下げ前の2020年度がいちばん多い
引き下げの前のほうが多い年もありました(国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況」より作成)

引き下げ前の2020年度のほうが、多いのです。

国民生活センターも「2021年度以降で最多」という言い方をしていて、2021年度より前は含めていません。 言葉を選んで発表しているのだと思います。

数字の読み方について

  • 「過去最多」ではありません。2019年度・2020年度のほうが多い年でした
  • 同じ年度でも、公表する時期によって数字が変わります。あとから相談が登録されるためです
  • 2021年度が少ない理由は、資料に書かれていません

煽られる数字ではない、というのが正直なところです。ただ、年に1万件前後の相談が続いていることも、また事実です。

この記事で言いたいのは「被害が急増した」ではありません。数が増えていないことと、危なくないことは、別の話だということです。

引き下げの前も後も、18歳・19歳のトラブルは年に1万件前後あります。件数だけ見れば、変わっていません。

変わったのは、そのあとです。

引き下げ前なら、契約を取り消せる可能性がありました。いまはそれがありません。同じ1万件でも、取り返しのつく1万件と、つかない1万件では、意味がまったく違います。

だから私は、この数字を「危ないぞ」と脅すためではなく、「もう戻せないのだから、入口で止まるしかない」と伝えるために置いています。

狙われているのは美と金

どんな相談が多いのか。国民生活センターは、2文字ずつでまとめています。

依然として「美(び)」(「脱毛エステ」「医療サービス」など)や「金(かね)」(「役務その他サービス」「他の内職・副業」など)に関する相談が多く寄せられている。

※ 国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況-2025年度-」より

美しくなりたい気持ちと、お金がほしい気持ち。

言われてみれば、どちらも18歳や19歳のころに強くなる気持ちだと思います。そこを狙われている、ということになります。

断りにくい相手が使われる

国民生活センターが、18歳・19歳に向けて「気を付けてほしいトラブル」を10種類まとめています。眺めていて、気づいたことがありました。

知らない人からの勧誘ばかりではないのです。

  • 大学の先輩から誘われる
  • 友達から「いい話がある」と言われる
  • 好意を持った相手から勧められる(デート商法)

国民生活センターのアドバイスにも、わざわざこう書かれています。

必要がないと思う契約には、先輩や知人から勧誘されても、ハッキリと断る。

「先輩や知人から」と名指しされているところに、実態が出ている気がします。

いちばん新しい手口はお金を借りさせる

2026年に入ってから、国民生活センターが繰り返し注意を出しているものがあります。

副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意

― 複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口が目立ちます(2026年5月20日公表)

※ 国民生活センター「若者の消費者トラブル」より

ここが、18歳成人と直接つながっているところです。

18歳になると、自分の名前でローンが組めます。 消費者金融からお金を借りることもできます。つまり、手持ちのお金がなくても、契約させられてしまうわけです。

「お金がないので無理です」と断ったら、「それなら借りればいい」と返される。そういう手口です。

契約の重みが変わってしまった

もうひとつ、私が気になっていることを書かせてください。契約そのものが、昔とはまったく違うものになっている気がするのです。

契約する手順の昔といまを比べた図。昔は、お店へ行く、申込書に手書き、身分証を見せる、はんこを押す、会員証を受け取るの5つ。いまは、画面をスクロール、同意するにチェック、完了の3つ。下に「手間が減ったぶん 立ち止まる場所も減りました」とある
手間が減ったぶん、立ち止まる場所も減りました

昔の契約は重かった

私が若いころ、何かを契約するというのは、わりと大ごとでした。

たとえば、レンタルビデオ店の会員になるとき。店舗まで出向いて、入会申込書に手で名前を書いて、身分証を見せて、会員証を作ってもらう。それだけで15分くらいかかったと思います。

携帯電話の着メロや着うたのサイトも、月額315円(当時の消費税5%込み)くらいで会員登録するのが流行っていました。携帯電話の料金と一緒に払う仕組みです。いま思えば、これがサブスクのはしりだったのかもしれません。

当時は「ネットで無料」という選択肢がほとんどありませんでした。何をするにも、現物を買うか、お店に通うか。 どちらも、それなりに重い契約でした。

紙とハンコが持っていた意味

そして、手続きの多くには紙の書類とハンコが必要でした。

自分の手で自分の名前を書く。自分の手でハンコを押す。親にハンコを押してもらう。

面倒でした。でも、あの面倒さには意味があったのだと思います。

書面で、対面で契約するので、それなりに目を通す機会がありました。 気になるところがあれば、「これくらいいいや」と流さずに、店員さんに聞くこともできました。

私自身、書いてあることを慎重に読んだり、見積もりを電卓で計算し直したりしていました。どこかで「騙されないようにしよう」と思っていたのだと思います。

いまはスクロールしてポチッ

いまは違います。スマホがあれば、たいていの契約はその場で終わります。

これは時代の進歩で、いいことだと思っています。わざわざ店舗に行かなくていいし、24時間いつでもできます。

ただ、気になっていることがあります。

重要な説明が、スマホの画面に大量に表示される。 そして私たちは、それをスクロールするだけの作業になっていないでしょうか。最後の確認は、ポチッと押すだけです。

同じ「契約する」でも、中身が変わりました

昔 … 店舗へ行く → 申込書に手書き → 身分証を見せる → ハンコを押す → 会員証を受け取る

いま … 画面をスクロール → 同意するにチェック → 完了

手間が減ったぶん、立ち止まる場所も減りました。

少額ほど積み重なる

もうひとつ、いまならではの心配があります。

サブスクのおかげで、昔なら手の届かなかったものが、細切れになって手が届くようになりました。 月に数百円で、映画も音楽も読み放題です。すごいことだと思います。

ただ、ひとつひとつが少額だからこそ、積み重なっていることに気づきにくい。

月500円のものを6つ契約していたら、年間で36,000円です。ひとつずつ見れば「これくらいなら」と思える金額が、合計するとそれなりの額になります。

ちりも積もれば山となる、というのは本当だと思います。

18歳までにできること

ここからが、この記事の本題です。

正直に書くと、18歳になってしまえば、親にできることは多くありません。 契約を止める権利も、取り消す権利もなくなります。

だからこそ、その前に、親子でできることを考えたいと思っています。

うれしいことに、いちばん役に立つものはすでに用意されていました。

国が作った教材がとてもいい

まず、いちばん確実なものから。

消費者庁が「社会への扉 ―12のクイズで学ぶ自立した消費者―」という教材を公開しています。高校生向けに作られたもので、無料でダウンロードできます。

  • 12のクイズ形式なので、読むというより解く感じで進みます
  • 全部で11ページ。親子で1時間もかかりません
  • 未成年と成年の契約の違い、ネットショッピング、クレジットカード、多重債務まで
  • 消費生活センターに相談したあと、どう解決するのかがマンガで描かれています

最後のマンガが、私はいちばんいいと思いました。「相談してみよう」と言われても、相談したあと何が起きるのか分からないと、電話しにくいものです。そこを絵で見せてくれています。

さらに、この教材を使った動画の講座まで公開されています。中学生・高校生・大学生・特別支援学校の生徒・先生と、相手別に分かれていて、高校生向けには副業トラブル、マルチ商法、エステトラブルの回があります。

さきほど「相談の中身は美と金」と書きましたが、まさにそこが動画になっています。 1本5分から15分ほどです。

どちらも、こちらから見られます。

いいものが、届いていない気がします

これだけのものが、全部無料で公開されています。それなのに、私はこの記事を書くまで知りませんでした。

国が作るものは、どうしても知らせるのが上手ではないのかもしれません。だとしたら、知った人が伝えるしかない気がしています。

私が下手なチェックリストを作るより、国が作った本物を渡すほうが、たぶんずっと役に立ちます。

学校で配られている場合もあるので、お子さんに「もらってない?」と聞いてみるのもいいかもしれません。

契約の前に立ち止まる合図を決めておく

知識よりも、習慣の話です。

その場で断るのは、大人でも難しいものです。ましてや相手が先輩や友達なら、なおさらだと思います。

なので、断り文句をひとつ決めておくのはどうでしょうか。

「いま決められないので、また連絡します」

理由を説明しなくて済むので、使いやすいのではないかと思っています。「親に相談してから」でもいいのですが、18歳を過ぎると少し言いにくいかもしれません。

大事なのは、断ることそのものより、決断を先に延ばすことかなと思います。一晩おけば、たいていの「いますぐ」は消えます。

188という番号を覚えてもらう

困ったときの相談先として、消費者ホットライン「188」があります。

全国どこからでもかけられて、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。契約や返金のことで困ったときの窓口です。

ひとつ正直に書いておくと、188は通話料がかかります。 相談そのものは無料ですが、電話代は自己負担です。

この番号は、SNSトラブルについてまとめた記事でも案内しています。家族の誰もが知っている番号にしておけると、いざというとき早いと思います。

渡すのは知識より習慣

子どものスマホのルールについて書いた記事で、私は「親のほうも学び続けるしかない」と書きました。

18歳は、その積み重ねの結果が出るときなのだと思います。

契約の知識を全部渡すことはできません。 これから出てくる新しいサービスのことは、私にも分かりません。5年後に子どもが何と契約するのか、想像もつきません。

だとすれば、渡せるのは個別の知識ではなく、「分からないものにはサインしない」という構えのほうかもしれません。中身が新しくても、この構えなら効きます。

誤解されやすいこと

一覧では書ききれなかったところを、補足しておきます。どれも「18歳で全部が切り替わる」という思い込みから来る誤解です。

書きながら数えてみたら、思っていたより多くありました。

少年法の少年は20歳未満のまま

意外に思われるかもしれませんが、少年法(昭和23年・1948年制定)は変わっていません。

少年法 第2条第1項

この法律において「少年」とは、二十歳に満たない者をいう。

18歳・19歳は、いまも少年法の「少年」です。

ただし、この年齢には特別な立場が作られました。「特定少年」といいます(少年法第62条)。17歳以下とも、20歳以上とも違う、中間の扱いです。

大きな違いのひとつが、実名などの報道です。少年法は、少年のときに犯した罪について実名や写真を報じることを禁じています(第61条)。ところが、特定少年が起訴された場合には、この禁止が適用されません(少年法第68条)。

  • 少年法での扱い
    17歳以下:少年
    18歳・19歳:少年(特定少年)
    20歳以上:大人
  • 起訴後の実名報道
    17歳以下:禁止
    18歳・19歳:できる
    20歳以上:できる

少年法そのものについては、このブログで別に1本書く予定です(何歳からどんな責任を負うのか、という内容で企画しています)。ここでは「18歳で全部が切り替わるわけではない」ということが伝われば十分です。

普通免許はもともと18歳

「18歳になったから運転免許が取れる」と思われがちですが、これは成年年齢とは関係がありません。

道路交通法第88条第1項第1号は、免許の種類ごとに年齢を定めています。普通免許は、成年年齢が20歳だったころから18歳でした。今回の引き下げで変わったものではありません。

いっぽうで、中型は20歳、大型は21歳のままです。大きな車は、成人したからといってすぐには運転できません。

お酒とたばこは法律の名前ごと変わった

ここは、知っておくと少し面白いところです。

飲酒と喫煙を禁じている法律は、カタカナで書かれた古いものです。

二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 第1条(明治33年・1900年制定)

二十歳未満ノ者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス

二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 第1条(大正11年・1922年制定)

二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス

明治と大正にできた法律が、いまも生きています。

この2つ、実は名前が変わりました。もともとは「未成年者飲酒禁止法」「未成年者喫煙禁止法」でした。

なぜ変えたのか。考えてみると、理由がはっきりしています。

「未成年者」のままにしておくと、成年年齢が18歳になった瞬間、「未成年者=18歳未満」になってしまうからです。そうすると、18歳から堂々とお酒が飲めることになります。

そこで、名前と中身を「二十歳未満ノ者」に書き換えて、20歳の線をそのまま残したわけです。

では、なぜ20歳を守ったのか。法務省が理由を書いています。

健康被害への懸念や、ギャンブル依存症対策などの観点から、従来の年齢を維持することとされています。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q4より

法律の名前を変えてまで、20歳の線を守った

成年年齢は下げる。でも、体に関わるところは下げない。分けて考えられているのだと思います。

同じ理由で、馬券なども20歳のままです(競馬法第28条。昭和23年・1948年制定)。競輪、オートレース、競艇も同じです。

養育費は18歳までではない

離れて暮らす親から養育費を受け取っているご家庭では、気になるところだと思います。

「子どもが成年になるまで養育費を支払う」と決めていた場合、成年が18歳になったのだから、支払いも18歳で終わるのではないか——そう心配される方がいます。

政府広報オンラインに、こう書かれています。

養育費は、こどもが未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので、こどもが成年に達したとしても経済的に自立していない場合には、養育費の支払義務を負うことになります。(中略)例えば、こどもが大学に進学している場合には、大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。

※ 政府広報オンラインより

「18歳になったから終わり」ではないわけです。

これから決める場合は、「22歳の3月まで」のように期限をはっきり書いておくほうがよい、とも書かれています。

成人式はいまも20歳が多い

法律上は18歳で大人です。でも、お祝いのほうは変わっていません。

成人式の時期や在り方に関しては、現在、法律による決まりはなく、各自治体の判断で実施されていますが、多くの自治体では、1月の成人の日前後に、20歳の方を対象に実施しています。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q8より

法律で決まっているわけではないので、地域によって違います。お住まいの自治体がどうしているかは、広報などで確かめてみてください。

結婚できる年齢は逆に引き上げられた

民法 第731条(婚姻適齢)

婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。

いまは男女とも18歳ですが、2022年3月までは、男性18歳・女性16歳でした。

つまり女性側は、16歳から18歳に引き上げられたわけです。

「18歳成人」というと引き下げの話ばかりが出てきますが、結婚については逆でした。同じ改正の中に、下げたものと上げたものが混じっていたことになります。

なぜ引き上げたのか。法務省は、心身の発達に男女差があるという以前の考え方について、こう説明しています。社会が複雑になったいまは、社会的・経済的な成熟度をより重視すべきで、その点では男女に差はない、と。

ここにも経過措置があります。

なお、2022年4月1日の時点で既に16歳以上の女性は、引き続き、18歳未満でも結婚することができます。

※ 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」Q7より

取消権のときと同じ考え方です。その時点で持っていたものは、あとから取り上げない。 法律が変わるときには、こういう配慮が置かれるのだと思います。

結婚は、体の成熟だけの問題ではない。 そういう考え方の変化が、条文に出ているのだと思います。

子どもへ

ここからは、18歳が近づいているみなさんへ。

18歳の誕生日には、たぶん何も起きません。スマホに通知が来るわけでも、誰かが説明しに来るわけでもありません。

でも、その日から、あなたの「はい」の重さが変わります。

17歳までは、親の同意なしに結んだ契約を、あとから取り消せることがありました。間違えても、戻せる道が残されていたのです。

18歳からは、それがありません。「はい」と言った瞬間に、責任が生まれます。そして、その責任はあなたのものになります。

だから、ひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。

分からないまま「はい」と言わなくていい。

その場で決めないことは、失礼ではありません。相手が先輩でも、店員さんでも、好きな人でも同じです。

「いま決められないので、また連絡します」

この一言が言える人のほうが、私はずっとしっかりしていると思います。急がせてくる相手ほど、急がせる理由があるものです。

そして、もし何か契約してしまって、おかしいなと思ったら。

早く相談してください。 恥ずかしいことではありません。だます側は、断りにくい状況を作るのがとても上手です。あなたが弱いから引っかかるわけではありません。

時間がたつほど、できることは減っていきます。気づいた日が、いちばん早い日です。

困ったときの相談先

  • 契約や返金のことで困った
    消費者ホットライン 188(お住まいの地域の消費生活センターにつながります)
  • だれかに話を聞いてほしい
    24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(文部科学省)24時間・年中無休
  • いじめ、人権のこと
    こどもの人権110番 0120-007-110(法務省)平日8:30〜17:15
  • 犯罪かもしれない
    警察相談専用電話 #9110(急ぐときは110番)
  • つらくて、どうしようもない
    まもろうよ こころ(厚生労働省)公式サイト

0120で始まる番号は通話料もかかりません。#で始まる番号や188は通話料がかかります。

おわりに

冒頭に、私は18歳・19歳のころ自分で契約した記憶がない、と書きました。

その分を、親がやってくれていたのだと思います。人生の節目で、重要な判断を代わりに引き受けてくれていた。当時は当たり前だと思っていましたが、ずいぶん恵まれていたのだと、いまは思います。

いまの子どもたちは、そうはいきません。18歳になった日から、自分で決められるようになります。

「決められる」のであって、「決めなければいけない」わけではありません。親に相談したっていい。ただ、相談せずに決めることもできてしまう——そこが、私のころとの違いです。

タダほどこわいものはない

子どもに伝えたいことを、ひとつだけ選ぶとしたら、これになります。

タダほどこわいものはない。

無料のサービス、初回無料のお試し、無料セミナー。世の中には「無料」があふれています。もちろん、本当に親切なものもあります。

ただ、なぜ無料なのかを考える癖だけは、持っていてほしいと思っています。誰かがどこかで、お金を回収する仕組みになっているはずだからです。

言われるがままに押さない

もうひとつ。

契約するとき、相手に言われるがまま、画面に誘導されるがままに、サインしたり、クリックしたりしないでほしいと思っています。

いまは、画面が上手にできています。「次へ」を押していけば、迷わず最後までたどり着けるように作られています。迷わせないことが、良い設計とされているからです。

でも、契約のときくらいは、立ち止まっていいと思うのです。

分からないところがあれば、いまはAIに聞くこともできます。 「この契約で、自分に不利になりそうなところはどこ?」と尋ねれば、答えてくれます。私が電卓を叩いていたころより、ずっと簡単です。

道具は増えました。あとは、使おうと思うかどうかだけかもしれません。

渡せるものは多くない

18歳になると、できることが増えます。それは喜ばしいことだと思います。

ただ、同じ日に、親権と、取り消せる権利という2つのお守りが外れます。国自身が「消費者被害の拡大が懸念されています」と書くくらいには、大きな変化です。

それでも、私は渡せるものは多くないと思っています。

知識は古くなります。手口も変わります。5年後に子どもが何と契約するのか、私には見当もつきません。

渡せるとしたら、「分からないものにはサインしない」という構えと、困ったときに相談できる相手がいるという安心くらいかもしれません。

でも、その2つがあれば、たいていのことは何とかなる気もしています。私の親が、私にしてくれたように。

朝の光が差し込む玄関で、出かけていく若者の後ろ姿を、家の中から親が少し離れて見送っている。親は手を伸ばさず、ただ見ている

正解は、たぶん家庭の数だけあります。この記事が、そのうちのひとつを考えるきっかけになればうれしいです。

なお、ここに書いたのは制度や条文の一般的な説明です。実際にトラブルが起きている場合や、個別の事情がある場合は、専門家や相談窓口を頼ってください。

  • 契約・返金の相談
    消費者ホットライン 188
  • 法的な手段を考えたい
    法テラス 0570-078374(使える制度と専門家を教えてくれます)
  • 犯罪かもしれない
    警察相談専用電話 #9110(急ぐときは110番)

※ 相談そのものは無料です。ただし#や188、0570で始まる番号は通話料がかかります。

参考にした情報

この記事は2026年9月時点の情報をもとに書いています。法律や制度は変わることがあるため、年に一度は見直して更新します。

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